【解析】ドラクエ4のAI戦闘
AIというと
1990年発売のドラゴンクエスト4を思い出します。
今から30年以上前の話となります。
人工知能をテーマとして取り上げ
そのコンセプトをゲームに組み込んだことが
当時、話題になりました。
もちろん、昨今流行しているAIとは
「機械学習」をしないという点で異なり、
当時のドラクエ4AI戦闘は
模擬的なものに過ぎないのかもしれませんが、
経験を重ねるごとに
まるで仲間キャラクタが
学習して賢くなっているかのように
見えてくるような演出は
当時のプレイヤーたちの心を掴みました。
戦闘を重ねるごとに
AIの行動パターンが変化し、
賢くなったような行動をとるようになる仕様、
これがドラクエ4(FC版)の特徴です。
参考)
この参考文献のソースにあたると、
次のような情報が得られます。
https://x.com/hijk0909/status/1123557227913048064?s=20
「最善の選択とは
敵集団の恐怖度を削り取る
効率の最も高い行動」である、
というのがドラクエ4のAI設計者の意図したことだと
続編のドラクエ5のAI設計者である𡈽方 雅之さんは
2019年にX(当時のtwitter)でコメントをしています。
この「恐怖度」という概念が
非常に天才的であると感じました。
私たちがゲームで遊ぶとき、
何の指標を参考にして
どのように判断・行動しているかを
仮想の数値で推論し、定義することで
ドラクエ4のAI戦闘を実現しています。
この「恐怖度」というパラメータが
とても気になります。
不可視のパラメータだからこそ、
今になって余計に惹きつけられます。
戦闘を重ねるごとに、フラグが付いて
敵の情報の公開範囲=AIが認知できる情報量が増え
この「恐怖度」の処理方法を変化させる
という手法を取っています。
・最初は知らない
・変な行動を取っていたのに上手に振る舞うようになる
・最終的には、効率的な行動パターンを選択できる
このような成長の過程を模擬的とはいえ、
「人間らしさ」として演出できたのは
このドラクエ4が世に打ち出した重要な成果だったのです。
ドラクエ4の発売から30年以上が経ち、
コンピュータのゲーム内演算処理によって
優秀なオートマチック判断が可能となりました。
ただ、あまりにも優秀過ぎて
初見の相手に対しても
まるで既に戦ったことがあり
すべてを知り尽くしているかのように振る舞うので
学習する前の「未知」の段階をスキップする傾向が
好まれるようになったようです。
当時の開発者たちがAI戦闘に込めた
「人間らしさへの追求」という強い思いは
今もなお、作品に刻まれて語り継がれています。
ゲームを通じて「AIが成長する」ということを
擬似的に体験できる最初の作品が
ドラクエ4だったのです。