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【漫画】宇宙兄弟

知人に勧めた流れで

漫画「宇宙兄弟」を読み返し始めました。

 

その面白さをまた味わえることが出来て

自分の選択は間違っていなかったことを確信しました。

 

宇宙兄弟 Official Web

koyamachuya.com

 

 

宇宙兄弟」は小山宙哉作の漫画です。

講談社「モーニング」で2008年1号(2007年12月6日発売)から

連載されている作品です。

 

そのタイトルの通り、

宇宙を題材にした漫画であることと、

主人公の兄弟二人が宇宙飛行士になる/目指す様子が

描かれているのが特徴です。

 

2006年7月9日に兄・南波六太と弟・日々人が

謎のUFOを目撃し「一緒に宇宙飛行士になろう」と

誓い合うところから物語はスタートします。

 

その19年後の2025年に、

日々人は夢を叶えて宇宙飛行士になります。

 

現実世界の時間経過としては

2010年代の10年間を駆け抜ける結果となり

作品の特徴として、

少しだけ未来を舞台にしている点が

挙げられるかと思います。

 

2007年の連載当時に、2025年のことを想像して

ある種のリアリティを吹き込んでいたことに

今でも驚きを覚えます。

 

優れた作家はリアリティのある世界を創出し、

読者ら鑑賞者をその世界の中に引き込みます。

私もその引き込まれた人の一人でした。

 

 

2023年9月現在では、

単行本が42巻(394話)までが刊行されています。

作中の時間経過は2029年まで進んでいて、

まだ未来のことが描き続けられているのです。

 

 

いちばんのオススメは

単行本40巻の376話なのですが、

このブログでは敢えて単行本の1巻をプッシュしたいです。

 

宇宙を目指す若者の話にもかかわらず

宇宙の魅力が1巻ではほとんど描かれていません。

主人公の難波六太の人間っぽさがよく描写されていて

彼が人生でくすぶっている様が伺えます。

 

登場人物の人間らしさの描写がとにかく秀逸で

確かにこんな人間やあんな人間を

現実世界ではよく見かけるし、

台詞も行動も日常で遭遇頻度の高いものが描かれています。

 

ムッタの人間くさい一面が共感を生むのかもしれません。

見栄を張りたくなったり、

楽をして結果を得たくなったり、

誰かに対して嫉妬心を抱いたり、

私たちの情けない部分をムッタが代弁してくれます。

 

小市民な感じが絶妙に表現されていて、

だからこそ、

ムッタを応援したくなるのではないでしょうか。

 

第1話で働いていた会社から解雇され、

「悲劇には慣れている」と半ば諦めている感もあります。

クビの原因は上司への頭突きであり、

弟のことを悪く言った上司に腹が立ったようです。

 

そのせいか業界で干されてしまい、

なかなか再就職が出来なくなり、

自身のアイデンティティを失いかけるというが

記念すべき第1話のダイジェストです。

 

 

以降の話においても

現在のムッタの駄目っぷりが続きます。

 

幼少の頃は、難しいことにも挑戦しようしていたのですが

今は起こっていないことに対し、

最初からチャレンジすることを放棄するような姿勢です。

 

「俺程度の人間は

 ふるい落とされるって

 わかってるから」

と気乗りしないムッタに対して

 

 

「昔のあなたって(中略)

 何にでもどんどん挑戦して

 難しいことを選んだ」

と奮い立たせるのが

古くからの良き理解者シャロンです。

 

シャロンはこの回で初登場なのですが、

このとき既にキャラクターが確立していて

言葉の一つひとつが丁寧で繊細で

ムッタに対する応援の気持ちで溢れています。

 

 

「いつの間にか…

 ヒビトの前で

 失敗することを

 すごく恥じるようになっちゃったけど」

 

シャロンのこの台詞は

多くの大人にも刺さるように感じました。

 

 

失敗に対する恐れ、不安、羞恥心が

人を消極的にさせて

チャレンジする意欲を根こそぎに奪うのです。

 

 

周囲の応援もあり、ムッタは

新規宇宙飛行士選抜試験を受けることになりました。

 

・試験で求められていることに応えられなかったり

・ちょっと着眼点が一般の応募者とずれていたり

・それでも何故か人を惹きつける魅力があったり

ムッタという人間が丁寧に描かれながら

ストーリーは進んでいくのです。

 

もちろん、これからも

同じような感じで進行していくのですが

どこか憎めない人間くささと

時折みせる優れた能力と言動を支える土台が

この単行本1巻に濃縮されていると思うのです。

 

成長と成功と、そして

うまくいかないことやトラブルも

全て日常に近い描写で

共感と納得を得ながら読み進められます。

 

どんどん宇宙産業の話題が増え、

ムッタの活動場所が宇宙へとシフトしていくのが

本当に楽しみで仕方ありません。

 

ふと、第1巻には

宇宙そのものの話題が少ないことに気づき、

それでもなぜ面白く読めるのかを考えたときに

ムッタというキャラクタの掘り下げと

日常の場面の丁寧な描写が

作品を支えていると感じました。

 

オススメの1冊です。

 

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