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【お蔵入り】家庭や職場でも使える! 医師が参考にする熱中症ガイドライン

2015年の熱中症診療ガイドラインが出版されたときに

分量が軽めの文章の執筆依頼をされました。

結果的に、いろいろとあって

その文章が日の目を浴びることは無かったので

ここで公開して供養したいと思います。

 

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家庭や職場でも使える! 医師が参考にする熱中症ガイドライン

 

世界でも初めてとなる「熱中症ガイドライン」が2015年に日本救急医学会から発行されました。熱中症の発生条件、診断基準、予防や治療法、重症化の因子まで、さまざまな記載がある中から、対処のポイントをご紹介します。

 

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熱中症ってどんな病気?】

 熱中症と診断されるのは「暑熱によって症状を呈する場合」から他の原因疾患が除外された場合です。つまり熱中症が疑われる場合には、感染症等の他疾患を除外するために、医療機関を受診する必要があります。「暑熱環境に居る、あるいは居た後」の症状として、めまい、立ちくらみ、大量の発汗、強い口渇感、筋肉痛、こむら返り、頭痛、嘔吐、倦怠感、意識障害、痙攣、高体温等が挙げられています。

 

熱中症を発症しやすい条件とは?】

 次の2つに原因を分けると熱中症の危険因子を理解しやすいでしょう。

 

●環境要因 

気温が高い・湿度が高い・風が弱い等の条件は、いずれも体からの熱放散を妨げる方向に作用するため、熱中症の発症リスクを増加させます。

 

●個人の要因 

文献によれば、性別は男性に多く、年齢・発生状況別では、若年男性はスポーツ、中壮年男性は労働による発生頻度が高いとの報告があります。一方、高齢者では男女ともに日常生活の中で起こる非労作性熱中症が多く、屋内での発症例が増加しています。

 

【どのような場合に医療機関を受診する?】

 熱中症が疑わしいときに、医療機関を受診するべきか、それとも安静や水分補給で様子をみて良いかと迷うかもしれません。本ガイドラインでは「非医療従事者にも役立つ」というニュアンスの記述が多く見受けられます。重症な熱中症を過小評価せずに、医療機関への受診が適切に促されることが狙いのようにも思えるので、暑熱環境にさらされた後に前述の諸症状を確認した際には積極的に医療機関を受診しても良いのではないでしょうか。

 

熱中症の予防・対処法は?】

 熱中症の予防・治療には「塩分と水分の両者を適切に含んだもの」が推奨されています。具体的には「経口補水液」が熱中症にふさわしいと言えます。本邦では、大塚製薬のオーエスワンOS-1)が普及しています。また、1リットルの水に1~2グラムの食塩と砂糖大さじ2~4杯

(20~40グラム)の糖分を加えて作ることもできます。高齢者では脱水症が生じやすく、さらにはお茶などの塩分の少ない飲料を好む嗜好があり、自分では水分補給をしているつもりでも、結果的に塩分が体内に保持されないというケースが多く見受けられます。また、市販のスポーツドリンクは糖分が多い一方で塩分が比較的少ないということも認識しておくべきです。熱中症では塩分と水分の両方が大事なのです。

 

熱中症診療ガイドライン2015 

https://www.jaam.jp/info/2015/pdf/info-20150413.pdf